バレエ教室（子供のおけいこ）

「白鳥の湖」が1969年録音のLP一枚ぶん。終幕を除く全曲から好きな曲を自在にセレクトした抜粋版。「眠りの森の美女」は第一幕のワルツが一曲だけ。「くるみ割り人形」は、1960年の録音による通常の組曲で、かつて「悲愴」などとカップリングされていた演奏である。……このように、かなりバランスの偏った「オレ流」な感じのするラインナップであるが、演奏の方もバレエのあらすじよりはチャイコフスキーの音楽の饒舌性に重きをおいた個性的な演奏である。しかし輝かしく面白い。ニューヨーク時代のバーンスタインの溌剌とした音楽性が楽しめる。「白鳥の湖」では独奏ヴァイオリンが随所に活躍するが、豊饒で粘っこいユダヤ的な香りもする巧みな演奏である。また「くるみ割り人形」は徹底してイン・テンポだが、かなりシンフォニックで小品という色彩ではない。録音の質もそれぞれの時代を反映していて面白い。「白鳥の湖」はマルチマイクを駆使した当時の4チャンネル録音。「くるみ割り人形」は自然な形の初期ステレオ録音であるが、一部ピックアップマイクを使っているものと思われる。