Diane Solway
Nureyev
人気ランキング : 116253位 定価 : ¥ 2,073 販売元 : Phoenix Press 発売日 : 1999-06-03 発送可能時期 : 通常24時間以内に発送 価格 : ¥ 1,761
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ヌレエフの人生 |
ヌレエフの人生を、生まれる前のことから亡くなったあとのことまで丁寧に、綿密に書いている。写真も白黒ではあるが、多数収められている。英語はやや難であるが、ヌレエフに興味があれば乗り越えられるだろう程度である。彼のドキュメンタリー映画‘I am a dancer‘の裏話や、彼の人間関係など、興味深い事柄がたくさん書かれている。ただ、かなり長いので途中で挫折してしまうかもしれない。
前近代からやって来た天才ダンサー |
…だという気がする、ヌレエフは。この人の破格な精神には、整備されこじんまりとまとまった「民主主義社会の市民」の匂いがしない。妙な例えだが、戦国武将とはこんな人だったのかもしれない、とふと思ったりした。スターリン圧政下のロシアの寒村で育ち、意志の力のみを頼りにレニングラードに辿り着き、十七才という遅いスタートにもかかわらず、キーロフ・バレエ団の若きスターへ、そして亡命、世界の大スターへとブルドーザーが突き進むが如く。思い通りに生きたスーパースターのように思われるかもしれないが、ヌレエフはダンサーとしてコンプレックスを山ほど抱えていた。彼が理想と仰いだエリック・ブルーンとの怒涛の恋愛模様にもそれが表れている。崇拝する振付家バランシンに振られ続けた人生でもあった。バリシニコフの「パフォーマーとしては好きだが彼の踊りそのものは好きではない」というコメントも意味深だ。なんにせよ、ヌレエフは「バレエ」を超えた存在である。バレエファン以外にも読んでいただけたらと思う。巨大な戦う精神の物語と言ってもいい。