バレエ教室（子供のおけいこ）

二十世紀初頭のヨーロッパに乗り込み、その芸術界に革命を起こしたロシア人、ディアギレフの生涯とバレエ・リュスの功績を辿る評伝。
招き入れた綺羅星の如き芸術家たち、時には古典、時には前衛、ヨーロッパ上流階級の愛顧を受けハイファッションと結びつき、見事なイメージ戦略で時代の先端を行き時代を創造し---その眩しいばかりの功績を成し遂げたのは万年金欠状態の「私設バレエ団」だった、という事実を筆者は繰り返し語っている（総合芸術には大金がかかります）。
ディアギレフの金策は涙ぐましく、ダンサー、振付家の逼迫した生活ぶりには胸がしめつけられる。
おりおりに挟まれる作品評も素晴らしい。ニジンスキー振付の「牧神の午後」「春の祭典」の評は一読に値すると思う。ニジンスカ振付の「結婚」を指して「醜い女性だからこその作品」と喝破する言葉には思わず身震いが。
バレエに限らず芸術全般、歴史に興味のある方々、読み応えのある一冊です。