マルケヴィッチ
ラヴェル : ダフニスとクロエ / ストラヴィンスキー : バレエ音楽「春の祭典」
伝説のかなたに |
ダフニスと春の祭典、ともにディアギレフ率いるロシアバレエ団のために作られた曲である。晩年のディアギレフにその才能を見込まれたマルケヴィッチが、ここでは日本フィル相手に因縁のある曲を披露している。この映像の価値は、音楽の商業主義から身を遠ざけていた彼の指揮振りを映像で確認できること。過剰な身振りをせず、あくまでも的確に指示を出していく。また、驚くべきは春の祭典。ブーレーズ以降演奏のパラダイムが変化する以前のひとつの到達点を示している。日フィルは、管楽器の不安定な点が耳につく。いけにえの賛美に入るところでも危うい。しかし、これらを欠点ととらえるよりは、ここまで能力を引き出したマルケヴィッチの力量を賛美すべきだろう。見るべし。